バンコク日本博2025に学ぶ訪日インバウンド戦略|タイ人観光客を惹きつける最新トレンド

「タイ人観光客にもっと自社の地域や商品を知ってもらうには、どんな戦略が効果的だろうか?」
訪日インバウンドを担当していると、この問いに直面する場面は少なくありません。SNSでの発信は大切ですが、現地の人々と直接触れ合える機会がなければ、どこか机上の戦略にとどまってしまいがちです。
そんな中で、アジア最大級の日本総合イベント 「バンコク日本博(NIPPON HAKU BANGKOK)」 は、訪日インバウンドの最新トレンドを一度に把握できる“縮図”とも言える存在です。2025年に開催された第10回目は、過去最多の15万人超が来場し、日本に関心を持つタイ人の熱気を改めて証明しました。
この記事では、「バンコク日本博2025」で見えたタイ人観光客のニーズや行動特性 を整理し、日本在住の訪日インバウンド担当者が実務に活かせる戦略ポイントを解説していきます。
今回は10周年を迎えイベント会場も規模も変わったバンコク日本博2025に視察に行ってきました。ネット情報だけではわからないイベントの生の声をお伝えしますのでご参考にしてみてください。
バンコク日本博2025の開催概要と規模拡大
2025年のバンコク日本博は、8月29日から31日までの3日間、クイーンシリキット国際会議場(QSNCC)で開催されました。今回から会場はサイアムパラゴンから開催地が変更されました。
会場はバンコク中心部に位置し、アクセスの良さから多くの若年層やファミリー層を呼び込むことに成功。
来場者数は過去最高となる15万人を突破。事前登録者数も3.9万人を超え、昨年の約12万人から大きく増えています。
さらに注目すべきは、出展団体数が295、ブース総数が397と、前年を大幅に上回った点です。教育フェア、就職フェア、観光・物産フェア、食フェア、日本酒フェア、アニメやサブカルチャーの展示など、多彩なカテゴリーが設けられ、まさに「日本の総合展示会」と言える内容でした。
この規模感からも分かる通り、日本博は「日本を好きなタイ人」が集うだけのイベントではなく、訪日観光・教育・雇用・ビジネスの交差点として成長を遂げています。
来場者像から読み解くタイ市場のリアル
来場者の属性を分析すると、日本の観光・文化に触れたい幅広い層が集まっていることがわかります。
まず、若年層や大学生が大きな割合を占めます。日本語学習や留学を希望する人たちにとって、日本博は情報を得る絶好の機会です。大学や語学学校のブースは常に盛況で、留学フェアは立ち見が出るほどの熱気でした。
次に、ファミリー層です。子どもに日本文化を体験させたい親たちが多く、観光地紹介やアクティビティ体験コーナーに長い列ができていました。地方自治体のブースで雪や温泉を紹介すると、家族旅行の候補として強い関心を示す様子が見られました。
また、趣味層・ファン層も欠かせません。アニメやアイドル、サブカルチャーを通じて日本を好きになった人々が、ステージイベントや物販コーナーに集まっていました。この層は訪日経験者が多く、リピーターとしての潜在力を持っています。
こうした多様な層が一堂に会することで、バンコク日本博は「タイ人観光客の関心分野を総合的に把握できる場」として機能しているのです。
イベントで浮かび上がる訪日インバウンドの最新潮流
地方観光の強化
自治体や観光団体の出展が増えたことは、訪日インバウンドの流れを象徴しています。従来は東京や大阪などの大都市が中心でしたが、今や温泉、雪、自然体験といった地方ならではの魅力にスポットが当たりつつあります。特に「初めての雪体験」はタイ人にとって特別な体験であり、家族旅行や学生旅行のきっかけになるテーマです。
ステージ出演と拡散力
2025年のステージには、人気グループのBNK48やHANAなどが出演しました。これらのパフォーマンスは観客を集めるだけでなく、来場者が撮影・投稿することでSNS拡散の波を生みました。
うまく観光PRと組み合わせれば、自治体や企業の情報をより広範に届けることができます。
インフルエンサーとKOLの存在感
バンコク日本博ではインフルエンサーアワードも開催され、現地KOLが大きな役割を果たしました。彼らの投稿は、フォロワーに「行きたい」「体験したい」という欲求を喚起し、訪日に直結する力を持っています。
出展者が学ぶべきポイント
日本在住のインバウンド担当者にとって、バンコク日本博は単なる展示会ではありません。現地での学びを次の施策に活かす必要があります。
まず大切なのはブランディングです。2025年のテーマ「出会うたびに日本が好きになる!」のように、感情に響くストーリーを設定することが、来場者の心を動かします。自治体や企業が「一度訪れてほしい場所」ではなく「日本をもっと好きになる体験」を打ち出すことが求められます。
次に商品造成です。タイ市場では、ファミリー層向けの安心感ある商品や、学生団体向けの教育要素を含むプラン、リピーター向けのニッチな地方体験など、多様なニーズがあります。イベントを通じて得た声を商品づくりに反映させることが重要です。
そして営業戦略。現地旅行会社や教育機関との接点を最大限活かすには、タイ語資料の用意や柔軟な商談対応が欠かせません。
特にバンコク日本博では参加者の年齢が若い傾向にあるので、イベントにあった魅せ方や商品が必要になります。
成功するブース出展のポイント
バンコク日本博で成果を出すためには、ブースの工夫が欠かせません。
-
目的の明確化:
認知を広げたいのか、旅行商品を販売したいのか、旅行者からのヒアリングを増やしたいのかを事前に整理する。 -
体験型展示:
ブース出展が比較的自由なイベントのため、試食やフォトスポットなどを設け、来場者が「SNSでシェアしたくなる体験」を提供する。 -
タイ語対応:
パンフレット、パネル、SNS投稿などは必ずタイ語で準備し、現地の人が迷わず理解できるようにする。 -
スタッフ力:
事前にスタッフへの勉強会、また実際に足を運んだことのあるタイ人スタッフを配置し、親しみやすく質問にもきちんと答えられる環境を作る。 -
SNS連動:
イベント会場での体験をオンライン上で拡散してもらう仕掛けを導入する。
細かな点ですがこれらを徹底することで、単なる「出展」から「成果の出る出展」へと進化させることができます。
イベント後のフォローアップが勝敗を分ける
展示会はその場限りで終わらせてしまうと効果が半減します。旅行会社との名刺交換や商談で得た接点を、どのように育てていくかが鍵です。
イベント終了後は、旅行会社へのフォローアップメールを迅速に送り、商談の具体化を図りましょう。この際、オンラインでもタイ日通訳を手配した方が話がスムーズに進むことがほとんどです。
また、イベントで得た来場者の声をまとめ、分析し、新しい商品造成やSNS発信に活かすことも重要です。さらに、現地インフルエンサーとの関係を継続し、共同キャンペーンに発展させることも有効です。
学んだことを一気にまとめて次のアクション、また次年度の改善点を洗い出していきます。
まとめ|バンコク日本博はインバウンド戦略の宝庫
バンコク日本博2025は、タイ人観光客の関心と訪日需要を強く印象づけるイベントとなりました。
-
来場者層は若年層からファミリー、趣味層まで幅広い。
-
地方観光や体験型のPRが注目を集めた。
-
ステージやインフルエンサーが拡散を加速させた。
-
出展後のフォローが商談の成果を左右する。
インバウンド担当者にとって、このイベントは「市場を体感し、戦略を磨く場」です。次回のバンコク日本博に向けて、今から準備を進め、自社や地域の魅力をタイ市場に届けていきましょう。
訪日インバウンドの最新トレンドやブース運営のコツをまとめました。SWIMではバンコク日本博をはじめ現地でのイベント出展支援・販促サポートを提供。次回出展をご検討の方はぜひご相談ください。