【現地レポート】バンコク日本博2026から見る、タイでの訪日プロモーションの可能性

2026年8月28日(金)〜30日(日)、バンコクのクイーン・シリキット国際会議場(QSNCC)にて「NIPPON HAKU BANGKOK 2026(バンコク日本博2026)」が開催されました。
弊社では最終日の8月30日(日)、昼前に会場を視察。来場者の動向や観光関連ブース、旅行商品の販売状況などを確認しました。
会場全体は多くの来場者で賑わっており、「日本」をテーマとしたイベントとして非常に高い集客力を感じました。
一方、訪日インバウンドという視点で見ると、一般的な旅行イベントとは大きく性格が異なります。
今回の視察を通じて感じたのは、バンコク日本博は、訪日旅行商品を直接販売する場というよりも、日本に関心を持つ幅広い層へ地域や企業の認知を広げることに適したイベントということです。
自治体や観光関連事業者が出展を検討する際には、この特徴を理解した上で活用することが重要だと考えています。
バンコク日本博2026とは

バンコク日本博は、観光だけではなく、教育、就職、日本食、日本の商品、マンガ・アニメ、美容・健康、文化など、日本に関連する幅広い分野が集まる総合イベントです。
2026年は8月28日〜30日の3日間、クイーン・シリキット国際会議場で開催されました。公式サイトでは、タイ最大級の日本総合展示会として紹介されています。
会場は主に、
- 日本留学・教育
- 日本就職・人材
- 日本観光・物産
- 日本食・飲食
- 日本食品・食材
- 日本商品・ギフト
- マンガ・アニメ・サブカルチャー
- 日本の美容・健康
- 日本文化・エンターテインメント
- ビジネス・企業交流
など、さまざまなテーマで構成されています。
つまり、「日本旅行に行きたい人」だけが集まるイベントではなく、日本という国そのものにさまざまな入口から興味を持つ人が集まる“オールジャパン型”のイベントであることが大きな特徴です。
日曜日の会場は大盛況。比較的若いタイ人も目立つ
今回視察した8月30日(日)の昼前は、会場全体としてかなり混雑していました。
来場者の年齢は幅広く、日本人については家族連れも多く見られました。一方、タイ人については比較的若い世代が目立った印象です。
その背景の一つとして考えられるのが、バンコク日本博のコンテンツ構成です。
日本留学、日本での就職、アイドル、アニメ・マンガなど、若年層との親和性が高いコンテンツが多数展開されています。
また、主催の一社であるジェイエデュケーションは、日本留学支援や日本語教育を長年手掛けており、グループではバンコクで日本語学校も運営しています。公式情報によると、1999年から日本留学支援を行い、日本語学校、日本留学フェア、人材紹介など幅広く教育関連事業を展開しています。
そのため、もともと日本語学習や日本留学に関心のある若いタイ人との接点を多く持つことも、イベントで若年層が目立つ背景の一つではないかと感じました。
ただし、これは今回の現地視察からの所感であり、公式な来場者属性データによる分析ではありません。
訪日インバウンドの視点では、ここが非常に重要です。
「イベントへの来場者数=訪日旅行への関心層」ではありません。
イベント全体の集客力と、観光プロモーションとしての効果は分けて考える必要があります。
観光エリアは会場全体とは異なる温度感

観光関連の「Japan Travel & Product Fair」には、JNTO(日本政府観光局)をはじめ、航空会社、自治体、観光施設、旅行会社、OTAなど幅広い観光関連事業者が出展していました。
公式には、日本各地の観光・食・物産をタイ人へ届けることを目的としたエリアとして設けられており、旅行会社との商談機会も用意されています。
一方、実際に会場を歩いてみると、イベント全体の混雑に比べて、観光エリアは比較的落ち着いている印象でした。
自治体のブースでパンフレットを見たり、スタッフから話を聞いたりする来場者はいるものの、
「次の日本旅行ではここへ行こう」
という具体的な旅行検討段階というよりも、
「日本にはこんな場所もあるんだ」
という認知・情報収集段階の接触が中心に見えました。
そのため、自治体や観光事業者にとっては、短期的な送客だけを目的とするのではなく、まだ知られていない地域をタイ人に知ってもらう場所として捉える方が、イベントの特徴に合っていると考えています。
旅行商品の販売では「旅行イベント」と明確な違い
今回、出展していた旅行会社Quality Expressにも旅行商品の販売状況についてヒアリングしました。
同社は多くの訪日旅行商品を扱っていますが、FIT FairやTITFなどの旅行イベントと比較すると、バンコク日本博での旅行商品の販売実績はかなり少ないとのことでした。
これはバンコク日本博の集客力が低いということではなく、そもそも来場目的が異なるためです。
FIT FairやTITFなどを訪れる人は、
「次の海外旅行先を探したい」
「ツアーや航空券を購入したい」
というように、最初から旅行への関心が高い状態で来場します。
一方、バンコク日本博では、留学、就職、アイドル、日本食、買い物、アニメ・マンガ、日本文化など、来場目的は非常に多様です。
訪日旅行という視点で整理するなら、
「旅行イベント=旅行関心層へ深くアプローチする場」
「バンコク日本博=日本に関心を持つ幅広い層へ認知を広げる場」
という違いがあります。
どちらが優れているという話ではなく、目的に応じてイベントを使い分けることが重要です。
「オールジャパン」のイベントとして年々存在感が拡大
観光分野だけを見るのではなく、イベント全体として考えると、バンコク日本博は年々存在感を高めている印象があります。
公式情報では、2026年は日本から企業・団体など400を超える組織が集まるイベントとして案内されています。
会場では教育、就職、食品、物販、金融、自動車、エンターテインメントなど、多様な日本企業・団体を見ることができました。
今回特に興味深かったのが、しまむらの出展です。
商品を展示し、タイ人消費者との接点を作ることで、タイ国内におけるブランド認知だけでなく、将来的に日本を旅行した際の店舗利用など、訪日需要との接点を模索する場としても活用できそうです。
このように考えると、バンコク日本博の価値は観光だけではありません。
「日本に興味があるタイ人」に対して、日本の企業・地域・商品・サービスを幅広く知ってもらえることが、このイベントならではの特徴です。
自治体・観光事業者は出展すべきなのか?

では、自治体や観光事業者にとって、バンコク日本博はどのような場合に出展候補になるのでしょうか。
例えば、
- タイ市場への取り組みを始めたばかり
- タイ人消費者の反応をオフラインで確認したい
- 地域の認知度を高めたい
- 若いタイ人をターゲットにしている
- 日本文化、食、アニメなどと観光を組み合わせられる
- 将来的なタイ市場開拓を目的としたマーケティング調査をしたい
といった場合には、出展を検討する価値があります。
一方、限られた予算の中で、
「具体的な旅行商品の造成・販売につなげたい」
「短期的に訪日旅行者を増やしたい」
という目的であれば、FIT Fairなどの旅行イベントや、旅行会社への営業、商品造成支援などを優先する方が成果につながりやすいと考えています。
「集客力」と「訪日送客力」を分けて考える
今回の視察を通じて改めて感じたのは、イベントの来場者数だけで出展先を判断しないことの重要性です。
バンコク日本博は、日本に関心のある幅広いタイ人へ接触できる大きなイベントです。
特に若年層への認知拡大、日本市場への初期調査、地域や商品の認知獲得という意味では、活用できる可能性があります。
一方で、具体的な旅行商品販売や短期的な訪日送客を目的とする場合には、旅行関心層へ直接アプローチできるイベントとの使い分けが必要です。
「多くの人が集まるから出展する」のではなく、「誰に何を伝え、その後どのような行動につなげたいのか」からイベントを選ぶ。
これが、タイでオフラインプロモーションを検討する際に重要な考え方です。
弊社では、タイ現地で継続的に旅行イベントや日本関連イベントを視察しながら、自治体・観光関連事業者の目的に応じたイベント選定、市場調査、旅行会社営業、商品造成、SNSプロモーションなどを行っています。
タイ市場でのイベント出展やプロモーション方法についても、お気軽にご相談ください。







