再確認! 2019年度の訪日タイ人マーケットをデータとともに考える
こんにちは。スイムの後潟(@ushirogata_bkk)です。
新型コロナウイルスの影響を受けているインバウンド業界ですが、2019年度のタイマーケットにおいては131万人(前年度比116%UP)の観光客が日本を訪れ東南アジアを代表する市場の1つとなりました。
多くのインバウンド関係者の方がタイマーケットを多角的に分析しているのでは、と思いますが、JNTO(日本政府観光局)はこの成長傾向をどのように捉えているのでしょうか?
今回はJNTO発表による月ごとの概況と2019年度のタイ国内の旅行業界の変動、それに踏まえてどう動いていくのかをまとめてみました。今後の集客のご参考にお役立てください。
2019年度 年間タイ人観光客数
■2019年1月
前年同月比12.1%増の92,600人で、1月として過去最高を記録。新規就航や増便により航空座席供給量が前年同月と比較して大きく増加したことに加え、旅行博開催や冬のアクティビティをテーマにした情報発信等の継続的な訪日旅行プロモーションが訪日者数の増加に寄与した。■2019年2月
前年同月比31.4%増の107,800人で、2月として過去最高を記録。新規就航や増便により航空座席供給量が前年同月と比較して大きく増加したことに加え、昨年は3月にあった祝日が今年は2月19日(火)となり連休を取得しやすい日並びがあったこと、また旅行博でのPRや、冬コンテンツの情報発信・広告宣伝等の継続的な訪日旅行プロモーションが、高い伸びにつながった。■2019年3月
前年同月比26.8%増の147,400人で、3月として過去最高を記録。新規就航や増便により航空座席供給量が前年同月と比較して大きく増加したことに加え、旅行博でのPRや春コンテンツ、北海道等の情報発信・広告宣伝等の訪日旅行プロモーションにより日本の露出が増えたことで、訪日者数は好調な伸びを記録した。■2019年4月
前年同月比 10.9%増の164,800人で、単月として過去最高を記録。日本のゴールデンウィークの影響があったものの、新規就航や増便により航空座席供給量が前年同月と比較して大きく増加したことに加え、旅行博でのPRや、春コンテンツ、北海道等の情報発信・広告宣伝等の訪日旅行プロモーションもあり、訪日者数は前年同月を上回った。■2019年5月
前年同月比4.2%増の107,900人で、5月として過去最高を記録。日本のゴールデンウィークの影響があったものの、新規就航や増便による航空座席供給量の増加に加え、旅行博でのPRや北海道等の情報発信・広告宣伝等の訪日旅行プロモーション効果、今年は仏誕節が3連休となった影響もあり、訪日者数は前年同月を上回った。■2019年6月
前年同月比14.5%減の63,000人であった。価格競争が進み一部旅行会社が昨年と比較して販売を手控えたこと、タイ経済が減速傾向にあること、バンコク-新千歳便等一部の減便や、祝日の移動により連休があった4月と5月に旅行需要が移動したこと影響等により、訪日者数は前年同月を下回った。■2019年7月
前年同月比 1.6%減の73,200人であった。旅行閑散期の価格競争を避けるため一部の旅行会社が昨年と比較して訪日旅行商品の販売を手控えたこと、タイ経済が減速傾向にあること、バンコク-新千歳線等一部の減便や、日本人の夏季休暇の到来に伴うタイ旅行需要の増加の影響等により、訪日者数は前年同月を下回った。■2019年8月
前年同月比4.4%増の49,600人で、8月として過去最高を記録。旅行閑散期の価格競争を避けるため一部の旅行会社が昨年と比較して訪日旅行商品の販売を手控えたこと等の影響があるものの、バンコク-福岡線の新規就航等に加え、旅行博への出展、メディア招請等の訪日旅行プロモーションの効果もあり、訪日者数は前年同月を上回った。■2019年9月
前年同月比14.1%増の62,100人で、9月として過去最高を記録。バンコク-福岡線の新規就航等に加え、旅行博への出展、メディア招請等の訪日旅行プロモーションの効果や昨年は台風第 21 号の影響による関西空港の閉鎖に伴う航空便の欠航等があったこともあり、訪日者数の前年同月比は2桁の伸びを記録した。■2019年10月
前年同月比23.2%増の145,300人で、10月として過去最高を記録。バンコク-福岡線等の新規就航、増便による航空座席供給量の増加に加え、旅行博への出展、メディア招請、東北地方の広告宣伝等、継続的に展開してきた訪日旅行プロモーションの効果や日本関連イベントの開催に伴う日本の露出機会の増加、航空会社のキャンペーンもあり、訪日者数は前年同月を上回った。■2019年11月
前年同月比 36.3%増の140,300人で、11 月として過去最高を記録。バンコク-新千歳線や仙台線等の新規就航、増便による航空座席供給量の増加に加え、旅行博への出展、メディア招請、東北地方の広告宣伝等、継続的に展開してきた訪日旅行プロモーションの効果や日本関連イベントの開催に伴う日本の露出機会の増加、航空会社によるキャンペーンもあり、訪日者数は堅調に推移した。■2019年12月(年間総括)
タイの訪日旅行者数は 1,319,000 人で過去最高を記録。(これまでの過去最高は 2018 年 1,132,160 人)。日本の地方都市を着地とする航空路線や格安航空会社の新規就航、増便等に伴う航空座席供給量の拡大に加え、継続的な訪日プロモーションの効果もあり、旅行閑散期である 6 月と 7 月を除く全ての月で同月過去最高を更新し、2019 年は 11 月までの累計で 2018 年計を上回った。12 月は年間最大の旅行シーズンであるソンクラーン(タイ正月)休暇のある 4 月と同水準となる 164,900 人を記録した。タイの訪日旅行のピークシーズンの需要促進に加え、訪日地域の分散を図るため、全国 10 地域の桜等の花景色と近辺での体験アクティビティなどについての情報発信を行った他、中国地方への旅行会社招請や一般消費者向け東北観光 PR イベントなどを実施し、リピーター層の地方分散化に力を入れた。また、タイの地方都市からの訪日旅行促進のため、チェンマイ、ウドンタニの 2 都市で現地旅行会社を対象にセミナーを実施した。
カレンダーの連休が重なり大きく増加した月もありますが、基本的に2019年は仙台や広島など新規就航先やLCCの増便による物理的な席数が増えたのが大きく数字を伸ばす結果に繋がったと思います。またタイ航空のバンコクー仙台就航に合わせたJNTO主催の東北イベントが8月に開催され、秋から冬需要に大きく関わったのではないかと考えられます。
1月〜5月のハイシーズンは2018年度のプロモーション効果や旅行イベント、格安旅行会社の販売力強化によりパッケージ旅行の数字が伸び、6月〜8月のについては価格競争により一部旅行会社が販売を控えたことと、またタイの経済が低迷していることが取り上げられています。9月〜12月はPR露出の強化、旅行イベントの増加、新規就航・LCCの増便などによる影響が大きく出ています。
2019年度のタイ旅行業界の変動について
上記にも少し触れていますが、タイの旅行業界は2018年〜2019年にかけて下記の3つの理由から大きく市場が変化した年となりました。
・格安旅行会社のマーケット拡大
LCCを利用した格安パッケージツアーを取り扱うホールセラーが、バンコクを始め地方都市までネットワークを拡大販路を広げ、ボリュームを抱えたことによるコストダウンに成功。これにより今まで自社でパッケージツアーの企画販売をしていた会社は価格競争に巻き込まれコレクティブツアーの取り扱いが減り、インセンティブツアーに特化し始めた。
・越境OTAの進出
FIT向けの商品は近年タイ国内でも店舗型のリアルエージェントと店舗を持たないOTAの価格競争が行われており、人件費やオフィス費用で有利なOTAがシェアを拡大する流れにあった。しかし2019年に入り、大手外資系のOTAがタイに進出し幅を利かせ始めている。従来のリアルエージェントではまだオンラインでの支払いすらできないところも多く、太刀打ちが難しい状況。タイ国内のOTAと越境OTAによるシェア争いが起こっている。
・TITFの会場の移動
クイーンシリキットコンベンションセンターの改装工事により、2019年8月からTITFの会場がバンコク中心地から北部のインパクト・ムアントンタニーへ変更に。集客を見込めないと判断した旅行会社は旅行博への出展を控え、出展する旅行会社が減ったことから来場者が激減する負の連鎖となった。
状況を踏まえ今後どのように集客をしていくのか?
大きな力が根こそぎ市場を動かしていくようなタイマーケットですが、ではどのように集客をしていったら良いかと言うとやり方は大きく分けて3つです。しかもシンプルです。
1、しっかりとPRをする
まずしっかりとPRをして自地域や商品を知ってもらう、興味をもってもらうこと。
どの業界でもそうですが、「知らないということはないのと同じ」ですので、まずはしっかりと認知度をあげることが大事です。方法はタイ国内でのメディア露出がスピード感が高く、自社でタイ語のFacebook運営をすれば、継続的なPRが可能でコストも抑えられます。
2、旅行会社へ売り込みに行く
格安のパッケージツアーが販売されている中で、価格に囚われないコンセプトツアーや、他社との差別化をしたツアーが出始めています(旅行会社も情報を欲しています)。すでにコレクティブツアーを販売しなくなってしまった旅行会社も増え始めていますが、大手や中規模の旅行会社は自社催行をしているところが多くあります。
インセンティブツアーについては多くの旅行会社が力を入れているので売り込みしやすいのではないかと思います。インセンティブツアーも価格競争がしっかりとあるので、どの旅行会社がどの顧客、例えば大手飲料メーカーや銀行などの顧客を持っているのかまで事前にリサーチをして売り込みに行くのが大事です。
FITについては時代の流れと共にオンライン主流=OTAの流れにありますが、タイ国内においてはまだまだ旅行博での即売力が強いので、現地の旅行会社とタイアップを行い、オンラインとオフラインの二刀流で販売を進めるのが良いです。また、自社でも商品の販売ができるとインフルエンサーを使ったPRから直接ウェブサイトに誘導しての販売ができるので、そういった方法もありです。
3、思い切ってアウトソーシングしてみる
日本国内からタイでのPRや旅行会社との調整をするのは正直なかなか大変です。
「思うようにコミュニケーションが取れない」、「お願いしたことが進んでいない」、「そもそもよくマーケットを知らない」ということがよくあると思うのですが、弊社のようなタイ国内にある会社に思い切ってアウトソーシングしてみるのも1つの手です。
理由は簡単で「日本語でしっかりとやりとりできる」、「すでに旅行会社やメディアとコネクションを持っているので話が早い」、「マーケットに精通している」ということからです。対応のスピード感が早く、その分効果も早く出やすくなるのでオススメです。 餅は餅屋です。
少し長くなってしまいましたが、近年急速に市場が変化している中で、従来のマーケティング方法では効果が出づらくなりつつあります。新型コロナ収束後も、マーケットの動きはガラリと変わると考えられますので、そのタイミングを逃さず捉え、うまく集客につなげていく必要があります。
そのためにも、(最後、宣伝になってしまいますが)弊社のような現地のサポート会社をうまく頼っていただけるとうれしいです。現在もタイ市場のリサーチなど請け負っております。お気軽にご相談ください。