タイの巨大掲示板サイト「Pantip(パンティップ)」を攻略せよ!
こんにちは。スイムの宮島(@miyajimai517)です。
多くの人がスマホを持ち、インターネットを使って情報を得ることが当たり前になっている今。タイ人ももちろん、ニュースや娯楽、調べ物などにインターネットを使うのが当たり前になっています。
では、普段タイ人がどんなWEBサイトを見ているのか。タイ国内のアクセスランキングを見てみましょう。
1位 Google.com
2位 youtube.com
3位 Google.co.th
4位 Pantip.com
5位 Lazada.co.th
6位 facebook.com
7位 Line.me出典:Alexaより 2019年12月のタイ国内ウェブサイト閲覧ランキング
グーグル、ユーチューブなど、世界的におなじみのサイトが並ぶなか、今回ご紹介するのは堂々4位にランクインしているこちら。
Pantip(パンティップ)です!
https://pantip.com/
この7位までランキングのなかで、唯一タイ国内のウェブサイトなのがPantipです。(5位のLAZADA(ラザダ)はシンガポール発・アリババ系の東南アジアで展開するECサイト) 実質タイのウェブサイトで圧倒的1位を誇るこのPantipは、日本にはないタイプのユニークなサイトです。まずはそれを紐解いていきましょう。
そして次に、このPantipをうまくPRに活用することで多くのタイ人に情報を届けることが可能になります。今回はこのPantipの概要と、プロモーション利用について順に説明していきます。
日本政府観光局のデータでは約22%のタイ人が旅行前の情報収集としてPantipを利用しているというデータが出ていますのでしっかりと理解しうまくPRに生かしていきましょう。
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Pantipってどんなサイト?
Pantipは、1996年にタイのInternet Marketing Co., Ltd.によって立ち上げられた巨大な掲示板サイトです。タイ語で1000を表す「พัน(パン)」と英語でヒントを表す「Tip」からなる造語で「Pantip」と名付けられました。
政治、スポーツ、芸能、ファッション、旅行、アイドルなど、様々な事柄について語られており、累計約3600万ものスレッドがあります。Pantipサイトにて公式に発表されているページビュー数は、なんと4億3000万ビュー/月。どれだけ多くのタイ人がこのサイトを見ているかがわかります。
またページビューの過半数が検索流入です。実際に、何かをタイ語で検索しようとすると予測機能で「…pantip」と出てくることが多いです。
次に、サイト利用者の性別、年齢を見ていきましょう。
※運営に問い合わせたところ、18歳未満の利用者もいるが、ごくわずかなため省略とのことでした
このように、性別も年齢も大きく偏ることなく、インターネットアクティブな世代が利用していることがわかります。
Pantipで投稿されているカテゴリ
Pantipではカテゴリ別に掲示板を検索することができます。タイ語で部屋という意味の「ห้อง(ホーン)」がカテゴリを表します。日本の掲示板でいう「板」に当たります。現在は38の部屋があり、部屋ごとに名前がつけられています。
カテゴリそのものが部屋名になっているものもあれば、カテゴリを連想するような言葉が名付けられている部屋もあります。
38のカテゴリー
タイを少し知っている人なら、「うまい!」と思わずクスッとしてしまう部屋名もあるのではないでしょうか。
この各部屋の中に、カテゴリについてのスレッドが立ちます。スレッドのことをタイ語でกระทู้(グラトゥー)と呼びます。 グラトゥーには6つの種類があり、投稿者は投稿する内容がどれに該当するのか選択してからグラトゥーを立てます。
(出典:https://pantip.com/topic/37712546より)
6つのスレッド
このように様々なジャンルの話題を網羅し、個人が情報を書き込んだりスレッドを立てられるのがPantipというサイトです。タイ人を見ていても、何か調べ物があると「調べたいワード+Pantip」でよく検索しています。
タイ人のインターネット利用において、欠かせないウェブサイトであることは間違いありません。
掲示板サイトPantipと5ちゃんねるの明確な違い
そのジャンルの広さからPantipはときに「タイの5ちゃんねる」などとも呼ばれますが、Pantipと5ちゃんねるでは明らかな違いがあります。
それは、匿名掲示板ではないことです。
Pantipを閲覧するだけなら特に必要はないのですが、掲示板に書き込みをするには会員登録が必要になります。登録時の本人確認の方法によって、下の3つの会員区分に分かれ、利用範囲に制限があります。いずれも登録料は無料です。
3つの会員区分
つまり、スレッドを立てる権利のある人はすべて運営にIDを開示しているため、乱暴な書き込みや虚偽の情報など、公序良俗に反する投稿をした場合、すぐに個人が特定され、サイト利用ができなくなるのです。そのため2ちゃんねるのような匿名サイトよりも情報の質が保たれ、公共性が高い情報が集まるようになっています。
Pantip運営も掲示板から違反した書き込みがないかチェックするほか、人気のあるスレッドの投稿者にはプレゼントを送るなどのサービスも行っています。
なぜタイ人はPantipに書き込みをするのか?
このようにPantipにスレッドをたてるには少々面倒な手続きが必要です。日本人の感覚からすると「掲示板利用をするのにマイナンバーを登録してください」といわれたら怖気付いてしまいそうですが、そこまでしても書き込みをしたいタイ人がたくさんいるということは、それなりの魅力があるのです。
それはPantipがSNS的な側面も持っていることが大きいでしょう。
例を見ながら説明していきましょう。
旅行についての情報を集めた「ブループラネット部屋」に投稿されていた、タイのカオヤイという地域にあるホテルのレビューです(出典:https://pantip.com/topic/39531202)。投稿者は地図や写真などを交えて、丁寧にホテルの様子を掲載しています。
日本人が想像する掲示板サイトでは文字数が少なく、コメントが番号順に並んでいるだけのものをイメージするかと思いますが、Pantipでは写真付きのブログのような投稿をすることも可能です。そこに閲覧者からの返信コメントがつきます。
記事の最後には、投稿者のIDネームが記載されています。この名前をクリックしてみると……。
このように、この投稿者個人のページに飛びます。紹介文にはメールアドレスや電話番号まで記載しています。
個人のページでは、投稿者がこれまで投稿や返信をしたスレッドとブックマークしたスレッドをまとめて見ることができたり、個人のウェブサイトやSNSなどのリンクを貼ることができます。利用者側から見ると、趣味嗜好が似た投稿者の記事をまとめて読むことができたり、その人のSNSをフォローすることができます。
投稿者側から見ると、「自分の投稿に反応をもらえる」SNS的な楽しみ方に加え、閲覧数の多いウェブサイトのパワーを借りながら自身のコンテンツを宣伝することができるのです。ジャンルが細かく分かれているので、そのトピックに興味関心のある人に見てもらいやすいという利点もあります。
PRの透明性をどうやって保っているか?
これだけ閲覧数の多いサイトで、かつ無料でだれもが書き込みができるので、ともすれば、企業がたくさんの投稿者にお金を渡し、自社商品のよいレビューを書いてもらうといったような使い方もできてしまいます。
ステマの温床になってしまう事態を避けるため、Pantipでは、レビュースレッドのタイトルの前に「個人の感想」なのか「PR記事」なのかを明確にしなければならないというルールがあります。
赤枠で囲った部分がその表記の一例です。レビューには3つの区分があります。
3つの区分
とはいえ、CRとSRについては、賃金の発生は投稿者本人しかわからない部分が多く、実際は「投稿者の善意」ひとつになっているのが現状です。もしこのルールが守られず悪質なステマ投稿があった場合、IDの抹消や個人情報の公開といった措置もとられるようです。
Pantip運営は、「正直な投稿をお願いします。SRと書いてしまうとシェアされにくくなるかもしれませんが、長期的に見ればブランドにとってプラスの影響を与えるはずです」と述べています。
スレッドの見出しを訪日インバウンドマーケティングの参考にしよう
ここまでで、Pantipというウェブサイトの概要は掴んでいただけたと思います。さて次に、このサイトを使って、訪日旅行をPRすることを考えてみましょう。
旅行に関する口コミを集めた「ブループラネット」は、旅に関する有益な情報が揃っていることで知られており、2014年には「ロンリープラネット・トラベラー・ディスティネーション・アワード2014ベストトラベルウェブサイト」を受賞しています。
また、Pantipの部屋の中でもスレッドのPV数が一番多い1,676万PV/月となっています。さっそくブループラネット部屋に入り、ที่ยวญี่ปุ่นティアオ・イープン(日本旅行)というキーワードタグで検索してみましょう。
まず飛び込んでくるのが航空会社の広告バナー。その下に検索したキーワードタグ(ここでは日本旅行)と、そのタグをつけて立てられたスレッド数(4万2217スレッド)、その隣にはこのキーワードタグをフォローしている人の数(1403フォロワー)が記載されています。
下にスクロールしていくと「Pantip Trend」の記事。こちらは閲覧数が多かったり、いいね数の多い人気記事になります。
人気記事の下には新着スレッドと、「日本旅行」と関連して調べられているタグの一覧が出てきます。もちろんすべてタイ語なのですが、ここには生のタイ人の声が詰まっているので、見出しを翻訳にかけて、ざっと眺めるだけでも面白いです。
このときトレンドに上がっていた記事の見出しを見ていきましょう。
- JALが息子に贈ってくれた誕生日プレゼント
- 電車に乗って京都周辺の桜を訪ねる
- だれでも美しい写真が撮れる7つのテクニック
- 京都でやるべき8つのこと
- 旅行先別・東京の宿泊地の選び方
- 河口湖そばのホテルルートインのレビュー
- ジョジョラーメンを食べるツアーに参加しました
- 成田空港から河口湖に行った旅行のレビュー
- 8日間で北海道7都市をめぐる旅
- 関西のコーヒー・オブ・ザ・イヤー2019−2020
トレンドの見出しを読んだだけでも、タイ人がどんな旅行に興味があるのか、温度感を持って感じることができます。また実際に記事の中身を見てみると、写真の撮り方などから、「タイ人に刺さるビジュアルとはどんなものか?」も少しずつ見えてきます。
日本の企業や自治体でもPantipに広告出稿できる
Pantipにスレッドを立てられるのはID登録したタイ人のみですが、日本の企業や自治体の方も広告出稿という形でしたら、スレッドを立てることが可能になります。方法は2つです。
① ライターを独自に探し、【SR】として記事を書いてもらう
② Pantipに広告出稿し、【BR】の記事を書いてもらう
①の場合、ライター本人が了承があれば、ツアー招待や物品提供という形で比較的低予算で記事を作ることができます。ただし、Pantipは個人の名前に紐づくサイトであるため、書き方の表現などは個人のスタイルが尊重されます。
②の場合は、Pantipへの広告出稿となります。記事タイトル前には【BR】がつき、記事上にも「Advertorial(記事広告)」と記載されます。専属のライターが記事を書いてくれるので仕上がりの質も担保されます。
また、オプションでいろいろな「読まれるための工夫」を施してくれる点がポイントです。
- 記事の閲覧率を上げるため、部屋のページに記事を固定表示してくれる
- PantipのFacebookページに記事をシェア+ブーストしてくれる
- 掲示板内のバナー連動
これらをパッケージにしたプランもあります。ブループラネット部屋は専門のFBページも持っており、これだけで60万フォロワーがいます。
旅行に興味のあるタイ人に効果的にPRするために、Pantipはぜひ押さえておきたいメディアのひとつです。
SWIMでは、Pantipへの広告出稿のお手伝いも行なっております。Pantipのさらに詳しい詳細情報やプランなどご興味ありましたらお気軽にご相談ください!